モーニング娘。 スーパースター列伝
『小さな野心家!矢口真里』

※この物語はフィクションです。



小さな野心家!矢口真里(1)

(前略)

しかし、そんな矢口を待っていたのは、つんくの容赦のない一言だった!

つんく「矢口ッ!お前は背もチビだし、見た目もコギャルだ。うるさ型のキャラで売り出す事にした!」

矢口「そ、そんなッ…!歌唱力や踊りは評価してくれないんですか?!」

つんく「そんなもん、他の連中に任せておけ。お前はただはしゃいでればいいんだ。いいな?」

 このつんく♂という男、身勝手でアイドル達を商品としか考えていないのだが、
世の中の動きを見極めるプロデューサーとしての能力は抜群に高いのだからまた恐ろしい!
矢口も本人の気持ちとは裏腹に、娘。のムードメーカーとして人気を博していった。(中澤裕子・談)

つんく「ガハハハハッ!わしの狙いは大当たりだ。お前のはしゃぐ様を見てファンは大喜びしておるッ!」

矢口「(…クソッ、俺はこんな事をする為に娘。になったんじゃねえッ!
   しかしこれも芸能界で生きて行く為…。つらいが耐えねばッ!)」(腹筋運動開始)

 芸能界で生きる為!それだけがプライドの高い彼女を道化のキャラに甘んじさせた!
しかし、そんな矢口の前に二人の女が現れた事により事態は一変する!

つんく「よく聞けッ!今日からこいつらも娘。としてやっていく事になった!」

加護「加護亜依、12歳です」

辻「辻希美です」

矢口「ああ、矢口だ。よろしく…。
    (こ、こいつらッ…!まだ若いクセに何てぇオーラだ!
    こいつらとなら俺のやりたかった事ができるかもしれねえッ!)」

矢口の中で後のミニモニ。が誕生しつつあった!



小さな野心家!矢口真里(2)

矢口「どうだ辻、加護。芸能生活には慣れたか?」

辻「はい、矢口さんをはじめ先輩たちにも良くしてもらってますし、だいぶ慣れてきました」

矢口「こいつめ、調子のいい事を言いやがる」

加護「ところで矢口さん、話って何ですか?」

矢口「どうだ二人ともッ!おれとユニットを組んでみんか?!」

加護&辻「エエーッ?!」

矢口「俺とお前ら二人が組めば、この日本歌謡界を揺るがす事だって不可能じゃない!」

辻「し、しかし矢口さん。矢口さんにはすでにユニットがあるじゃないですか」

矢口「ああ、そうだ。しかし、俺はタンポポではできなかった事をやりたいんだ。
   そして、それにはお前たちの力が必要なんだッ!頼む、この通りだッ!」

加護&辻「ウッ…!」

加護「(あ、あの普段は陽気な矢口さんが泣いているッ…!それほどまでにこのユニットの事を!)
    わかりました、矢口さん!一緒に戦いましょう!」

辻「僕も加護がタンポポ入りして寂しかったところです。加護と一緒にやれるのなら喜んで!」

矢口「あ、ありがてえッ!」

 ――こうして、矢口の目論見は成功するかに見えた。
しかし、彼女の前にまたしても立ちはだかった大きな壁とは…?!



小さな野心家!矢口真里(3)

矢口「という訳で新ユニットを作りたいのですが…」

つんく「ああ、ダメだダメだ。加護はすでにタンポポに所属しているし、辻はいずれソロで売り出すつもりだ。
     大体お前だってタンポポじゃないか。お前のわがままに付き合ってる暇なんざない」

矢口「(そんな…せっかく加護と辻を味方に付けても、
    つんくさんに曲を作ってもらえなければ話にならないッ!どうすればいい?!)」

 あっさりと却下――。いくら熱意があろうと、プロデューサーの言葉は絶対!
それが芸能界の掟であり、矢口もただただ従うだけしかなかった。

矢口「(俺の野望も終わった…。もう、芸能界は…断念するしかないッ!
   いっそのこと故郷の神奈川県に帰ってヤンママにでもなるとしよう…)」

保田「矢口君、お困りのようだね」

矢口「圭!」

保田「君が何をやろうとしているかはわからないが、僕にはとても間違っているようには思えない。
   その時は僕たちプッチモニにとっても脅威となるかもしれないほどだ。
    きっと賛同してくれる人はいるさ、同期として応援しているよ」

矢口「圭…いいやつ!そうだ、圭のためにも何としてでもデビューしなければッ!」

 保田の言葉によって自信を取り戻した矢口は、捨て身の大胆な行動に出る!



小さな野心家!矢口真里(4)

矢口「社長!この私と辻、加護の3人でユニットを作らせてほしいッ!」

社長「お前の熱意は感じる。しかし…つんくに反対されたものをOKする訳にはいかんッ!」

矢口「(へへっ…そう来ると思ったぜ。しかしあいにくこちらにも考えがあってね)」

矢口「社長…よく考えて見て下さい!加護も辻も新メンバーでありながら
   すでに人気爆発。その二人が一緒になったユニットが売れないハズがないでしょう!」

社長「ウッ…!た、確かにッ!」

矢口「事務所にとっても悪い話ではないと考えているからこそ、
    私はぜひこのユニットを完成させたいと思っている!」

社長「わ…わかったッ!つんくにはわしの方から言っておこう!」

 普通、事務所というのは金儲けの事を優先させるため、 アーチストは自分のやりたい事ができない場合が多い。
しかし、なんと矢口はそれを逆手に取り、企画を通してしまったッ!
あまりに大胆な作戦であったが、これも彼女の執念がなせた技であろう。(中澤裕子・談)



小さな野心家!矢口真里(5)

矢口「我々のやりたい事はあくまでキャラクターではなく実力で売り出す事!
   ゆくゆくは海外進出も考えておるッ!」

加護「で…ですが矢口さん、果たして周りはそう思ってくれるのでしょうか?」

矢口「心配いらんッ!国際派をアピールするために、
   ある人物をメンバーに加える事にした!その女の名は…ミカ・トッド!」

辻「ミ…ミカ・トッド?!まさかあのココナッツ娘。の?!」

――ミカ・トッド!
モーニング娘。同様ハロプロメンバーとして外国人で構成されたユニット、ココナッツ娘。のメンバーである!
一時はCM出演など、ココナッツ娘。は矢口達の人気をおびやかす存在として不気味がられていたが
徐々にその勢いを失い、ここ最近は彼女もしばらくナリを潜めていたのだが…。
矢口はハーフである彼女の英語力に目を付けたのだった!

加護「しかし、外部からメンバーを加入させるなんて聞いた事がありませんよ!」

矢口「いや、むしろそれこそが狙いよ。別グループである彼女を入れれば、タンポポやプッチモニのような
    モー娘。だけで構成されたユニットとの差別化もはかれる!」

加護「な、なるほどッ…!それで、ユニットの名前は…?!」

矢口「矢口、加護、辻、そしてミカも含め、この4人は身長がとても低い!
   身長150cm以下の小型ユニット、すなわちミニモニ。だッ!」

加護&辻「ミ…ミニモニ。ッ!!」

矢口「この低い身長を最大の武器とし、今までの大人びた路線ではなく、
    かわいさを前面に押し出して行こうと思う!」

――このミニモニ。の狙いは大当たり!たちまち小中学生のカリスマとなり、
デビュー曲でいきなりオリコン1位を獲得した!

辻「やりましたね矢口さん。今やキャラクターグッズも売れに売れ、
   あれほど反対していたつんく♂さんも喜んで我々に曲を作ってくれてますよ」

矢口「まったくプロデューサーってのは現金なものだな。
    まあいい、俺もまだまだ満足してねえ。フフッ、やつとは長い付き合いになりそうだぜ」

 今でこそ矢口真里の地位は不動のものとなったが、
これも彼女が決して自分の信念を曲げなかったからこそである。
彼女があきらめない限り、彼女の快進撃はまだまだ続く事だろう。
矢口よ、私はきみが天下を取る事を願っている。その時が私との本当の勝負だ!
(中澤裕子・談)

「小さな野心家!矢口真里」・完


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